女優の仕事

2010年4月17日 (土)

追悼:ライモンド・ヴィアネッロ

一昨日、イタリアのコメディ俳優 RAIMONDO VIANELLO (ライモンド・ヴィアネッロ)氏(87歳)が亡くなりました。

12日前、ミラノにある総合病院に緊急入院し、そのまま帰らぬ人となったそうです。

イタリア人でこの人が嫌いという人はいないぐらい、人気のあった俳優さんで司会などもされていました。

私は彼と奥様(彼女も女優さんです)が主演する「CASA VIANELLO」というコメディドラマに出演させていただいたことがあります。

このドラマは20年近く続き、何と16シリーズもありました。今でも再放送を流すほどイタリアでは人気があり、初めてこのお話が来たときは本当に嬉しかったです。何しろ自分も見ていた番組なので、即OKしました。

スタジオ入りしたとき、既に撮影は始まっていて、楽屋で待機するように言われました。

緊張して台詞が抜けてしまうのではないかと思い、専用の楽屋を頂いてから呼ばれるまで一度も外に出ず一人で黙々と台本を読んでいました。(台詞はイタリア語と日本語です。)

すると誰かがノックしました。

ヘアーメイクさんだと思って、思い切りドアを開けるとそこにはライモンドさんが・・・

ライモンド氏 「今日は、私たちの番組に出演してくれることを感謝します。私がライモンド・ヴィアネッロです。」

と敬語でおっしゃるのです。

私 「私からご挨拶に伺わなければいけないところを・・・」

(・・・恐縮です。と言いたかったのですがイタリア語が出てきませんでした)

ライモンド氏 「ゲストはあなたですから、自分から出向くのが当たり前です。」

ここまで有名な方で、ここまで謙虚な方はなかなかいないと思います。

撮影中は監督ではなく、彼が演技指導を直接してくれ、ノーミスで撮影に臨むことが出来ました。緊張もほぐしてくれる力が彼にはあったのですね。アドリブの多い人なので周りの人も戸惑うことがあるのですが、それでNGを出したとしても、プレッシャーを感じさせない。場合によっては、その戸惑いがとても自然で、非常に良い映像が撮れたりします。シリーズが16回も続いた理由の一つではないかと思います。

テレビを通して見た彼はいつも冗談を言って、おちゃらけたイメージでしたが、撮影中は別人。本当に素晴らしい人で、彼から私が得たものは多く、少しでしたが仕事を一緒にさせていただくことが出来て幸せでした。

イタリアにとっては本当に大きな損失だと思います。

今日、ミラノ近郊のセグラーテでお葬式があるそうです。

ご冥福をお祈りいたします。

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